​画家 山口俊郎 ｜ YAMAGUCHI Toshio WEBSITE

　ダウン症を持って生まれてきた我が子と向き合うために、彼の絵を描き始めました。このシリーズは「トリソミー21」という名称にちなんで、彼が21歳になるまで彼にまつわる作品を描き続けるという長期的なプロジェクトです。
　そうたろうが生まれてから、アトリエの片隅に寝かせながら制作を続けていました。ある日、ふと息抜きに寝ている彼をスケッチしてみたのです。それ以来、昼寝のたびに彼の寝顔を描くことが日課となりました。彼の姿を描くうちに、彼の生きた証を長く残したいという思いが強くなっていきました。そう思うようになったきっかけは、彼が生まれた日に医者から言われた一言が、ずっと私の心に引っかかっていたからです。

　当初は息子の肖像画として描いていましたが、彼自身も絵を描くようになってからは、彼の描いた絵も作品に取り込めないかと考えるようになりました。私と彼の作品を重ねることで、視線や思いが交錯し、新たな表現が生まれています。
　画家は絵を描くことで、自分が生きた証を残そうとします。私も彼の肖像を描くことで、私と彼、二人の人生を一枚の絵の中に刻みたいという強い思いがあります。この作品は、私のライフワークとなりつつあります。息子は、自分の遺伝子をこの世に残すことができません。彼が生まれた翌日、医者から言われた一言が私の胸に重くのしかかりました。「ダウン症の男児は子を残すことができない」と。その事実は、彼がダウン症であることよりも大きなショックを私に与えました。
　人はいつか必ず死にますが、子孫を残すことで、その存在が次の世代に受け継がれていきます。彼の姿を絵として残すことが、私にできる一つの役割であり、彼が生きた証を多くの人に見てもらいたいという思いで、私は制作を続けています。

​

​

　ダウン症候群（ダウンしょうこうぐん、英: Down syndrome）は、体細胞の21番染色体が1本余分に存在し、計3本（トリソミー症）となることで発症する、先天性疾患群。新生児に最も多い遺伝子疾患である。多くは第1減数分裂時の不分離によって生じる他、第2減数分裂時に起こる。かつては蒙古症（もうこしょう）と呼ばれた。

wikipediaより

​